- ところ
- I
ところ(接助)〔形式名詞「ところ」から〕「ところが(接助){(1)}」に同じ。II
「家へ帰ってみた~, 荷はもう着いていた」
ところ(接尾)助数詞。(1)場所・箇所を数えるのに用いる。「気に入らぬ所がふた~ある」
(2)貴人の人数を数えるのに用いる。III「ただ一~ふかき山へ入給ひぬ/竹取」「女御子たち二~, この御腹におはしませど/源氏(桐壺)」
ところ【所・処】※一※空間的な位置・場所。(1)ある地点。 また, そのあたり。「遠い~から来た」「町を出た~に橋がある」「時と~を考える」「窓の~に立つ」
(2)ある地域。 地方。「~変われば品変わる」
(3)住んでいる場所。 住所。 居所。「~番地」「書類に~と名前を書き込む」「~払い」
(4)家庭・会社・地域など, 所属している社会。「兄の~は五人家族だ」「あなたの~では何人社員がいますか」「私の~ではまだそんな風習が残っている」
(5)ある箇所。 部分。「口の上の~に吹き出物ができる」
(6)その者が所有している領地。「~には地頭強して, 領家は弱く/太平記 1」
(7)都から離れたいなか。 在所。「かの人々を待ちて~の名所をも尋ねばや/謡曲・求塚」
(8)「蔵人(クロウド)所」「武者所」の略。※二※抽象的な事柄についての位置や場面など。(1)ふさわしい部署・地位。「~を得た人事配置」
(2)時間の流れの中のある部分を漠然とさす。 場面。 段階。「今の~は心配がない」「今日の~はこの程度にしておきます」「すんでの~で助かる」
(3)連体修飾語を受けて用いる。 (ア)ちょうど何かをしようとする, あるいは, 何かをしたばかりの場面・状況であることを表す。 ちょうどその時。 ほかならぬその時点。「出かけようとする~に来客があった」「もうすぐ式が始まる~だ」「今し方外出した~だ」(イ)特定の状況における事態を表す。 場合。 「彼女が一人で歩いている~を見たことがある」「普通の人間なら当然おこり出す~だ」(ウ)抽象的な箇所を表す。 点。 部分。 「彼には人をひきつける~がある」「小説のおもしろい~だけ話す」(エ)そこに示されている内容のことであることを表す。 …すること。 …であること。 「自分の信ずる~を述べる」「聞く~によると」
(4)数量を表す語に「が」を介して付いて, そのぐらいの程度であることを表す。 くらい。「千円が~損をした」
※三※(形式名詞)(1)〔漢文の「為 A 所 B 」を「 A の B するところとなる」と訓読したことから〕状態。 成り行き。「人の知る~となった」
(2)〔漢文訓読で連体修飾の「所」を直訳したことから生じた用法。 近代では西洋語の関係代名詞の翻訳にも用いられるようになった〕用言に付き, 「…ところの」の形で, 連体修飾語をつくる。「彼のめざす~の理想」「私が愛する~の家族」
※四※(「どころ」の形で)(1)動詞の連用形の下に付いて, それをするのにふさわしい部分・場所を表す。「見~」「つかみ~がない」
(2)名詞の下に付いて, それがたくさんとれるところを表す。「米~」「茶~」
(3)名詞・形容動詞の語幹の下に付いて, それに該当する人たちの意を表す。「きれい~」「社の幹部~が集まった」
(4)名詞の下に付いて, それを扱う場所・役所を表す。「台盤~」「御息(ミヤスン)~」「大歌~」「蔵人(クロウド)~」
→ ところが→ ところで→ ところに→ ところへ→ ところを~構わずどんな場所でも構うことなく。 気にすることなくどこでも。~変われば品(シナ)変わる土地が違えば, 風俗・習慣もそれぞれ異なる。~嫌(キラ)わず場所にかまわず。 どこでもかまわず。「出物腫れ物~」
~に付・く※一※〔「付く」は下二段〕その場にふさわしい。「~・けて我はと思ひたる女房の, のぞきけしきばみ/枕草子 3」
※二※〔「付く」は四段〕その場所に生活の根を張る。「~・きて年ごろに成て免されたる者は/今昔26」
~により特定の場所を示さない言い方。 所によって。「関東地方は夜, ~小雨が降るでしょう」
~へ持ってきて(前の文をうけて)それに加えて。 それだけでなく。「雨が激しくなった~, 風も強く吹いてきた」
~を得(エ)る(1)その人にふさわしい仕事や地位につく。(2)よい時勢にあって, 勢いが盛んである。IV「馴れたるさまに上手めき, 所得たるけしきして/徒然233」
ところ【野老】ヤマノイモ科のつる性多年草。 原野に自生。 柄のある心臓形の葉を互生。 雌雄異株。 夏, 腋生の花穂に黄緑色の小花をつける。 根茎は太くひげ根を多数出し, これを老人のひげに見たて「野老」の字をあてる。 根茎は正月の飾り物とされ, また苦味を抜けば食用となり, 煎(セン)じて胃病や去痰(キヨタン)の薬とする。 オニドコロ。 古名トコロズラ。 ﹝季﹞新年。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.